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ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ

監督 北村拓司  公開・2008 

滝本竜彦原作の小説を映画化。小説未読の管理人なので、作品のイメージを初めからもたずに見れたのが良かったのか、悪かったのか。普通に面白かったです!作中に流れる音楽も主題歌も好きです。俳優さんも、良かった…。市原さんいいですね。山本の心の声とか妙に脱力感があって、主人公の淡々とした感情が伝わってきます。物語初めの、肉屋で万引きをして逃げるシーン。手から離れた肉を口でくわえて走る!そこんとこが些細なお気に入りです。山本と絵理の出会いが唐突でただのナンパにしかみえない…。気になったのは絵理が座っていた場所で、不思議な形の人工池。正体不明のチェーンソー男が現れる場所はいつも絵になる場所で。江戸っぽいとこだったり、プールだったり、遊園地だったり、水族館だったり…。ロケ地をまわりたくなりました。襲うときは何故か誰もいないのはお約束ですね。絵理の身体能力が半端なく、軽くチェーンソーをよけるアクションとあのジャンプ力。空飛べるなと思いました。絵理のアクションは見所です。初めは違和感ありましたが…ワイヤー使ってるな、というか、体がフワフワしていて足に力が入ってない感じが重量感がなく、ただのチャンバラみたいな。遊びのように思えたのです。話が進むにつれて何故この軽いフワフワした表現を使うのかが分かり納得しました。これでいいんだと。要は、美少女戦士だから。いいの!足に力入ってないとか、あんなに威力はないとか考えちゃだめ!!チェーンソー男を見たとき突然、そのとんでもない力が備わった。ただそれだけなの!!しかし華麗に舞う絵理さんカッコ良かったです…。ずっと見ていたい。山本の友人、渡辺が良い味だしてます。寮の部屋とか部室とか、ほぼ彼の私物で埋まってる感。夢があるっていいですね…。何でも中途半端に終わってしまう彼が唯一完成させた歌、「根性なし」バンドシーン良かったです。歌詞もストレートで好きです。♪ケリをつけろ それでいいのか あきらめちまったのか そんな自分が嫌なんじゃねぇか 奴がくる 奴がくる♪ その「奴」とは。以下、長くなりそうなので気になった所を箇条書き↓

●「誰も信じてくれないことはね、実際にはなかったことと同じなのよ」絵理の台詞
●七光荘の雰囲気が好き。山本と渡辺の部屋のむさくるしさ、埃っぽさが画面から臭う。
●肉、うまそう。
●女のために命をかける。何もない人生のチャンス。それは能登にはできなかったこと。能登を超える!
●渡辺の押し入れ→「ものにならない夢のカケラでいっぱい」
●「…ちゃんって、やめてくれる?馬鹿にされてるみたいでムカつく」←絵理ちゃんと呼ばれて「この大馬鹿!!!」←食い逃げシーン「ちらちら顔みられてるのウザイんですけど」←図書館にて。山本に対する絵理ちゃんのドS発言。
●山本のケツを容赦なく蹴る。男の大事な場所も容赦なく蹴りあげる絵理様
●「絵理ちゃんは俺なしでは駄目なんだ。俺がそばにいるから毎晩戦えるんだ」山本、がんばれ。
●勉強は嫌なのに、テロ、報復、地球環境に思いを巡らせる。50年後に起こる太陽大爆発…いつかは終わる。だからテストはどうでもいい。
●鎖帷子、防御力、1.65倍
●たまにみせる絵理さんの笑顔。「ばかみたい…」山本にプレゼント貰ったとき凄くうれしそう。TUNNDERE…ツンデレ。
●深夜、絵理を乗せて自転車で徘徊している姿を目撃され、先生に説教される。そのときの板尾の台詞。「先生に怒られても反抗しない、反抗しても何も起こらないのを知っている。だから内に籠る。抵抗せず諦めて、命を無駄にする奴もいる。諦めていいのか?その歳で」
●絵理の手紙。山本への告白「好きです」
●チェーンソー男にバイクでつっこむ山本。死んでもいい。殺してくれ!!男、爆発。月に昇った。かなり派手に燃えた…。CGがんばったよ。
●「お前の望みは叶えない」最高のエンディングをむかえられなかった山本。「無理すんな、お前は俺に追いつけない。お前はあの子と薄らぼんやりした日々をすごせよ」能登の声
●「能登、俺を見とけよ。俺はこれから絵理ちゃんとだらだら楽しく生きてやる。羨ましいだろ!生きてる俺を羨ましがれ!」「チェーンソー男は消えた。俺は生きている」
●海辺で絵理ちゃんと歩く山本の語り。「(チェーンソー男は消えたが)世界は薔薇色でもなく、日々は変わらない。だからどうした。絵理ちゃんといる今、この瞬間はそれなりにハッピーだ。…俺は祈った。少しでも長くこの幸せがつづくよう、夕日に願った…なんとなく」
●エンドロール後の「あ、雪」
●「誰でも一度は死にたがる」


感情は殺すな!おかしい、間違ってる、何故なんだ!思うことから逃げずに立ち向かえ!見えない悪者と戦え!反抗せよ!それが結果なにも変らなくても…。でも、生きていこう。




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キクとイサム

監督 今井正  公開・1959 

人の肌の色でその人の人格が分かるなんていうことはない。主人公のキクとイサムの父はアメリカ兵。母は日本人だが、病気で亡くなり、年老いた祖母と三人で暮らしていた。母が亡くなってしまった今、父が誰なのかもわからない。肌の色は成長するにつれて黒くなり、日本で生まれ育っているのに、周りから見れば外国人。学校では「くろんぼ!」とからかわれるイサム。しかし、まだ幼い二人は何故周りがそんな事を言うのかもわからない。将来を案じる祖母と孫であるキクとイサム。血のつながりの大切さ。どんなことがあっても孫を守る祖母。家族愛が溢れているだけに、外部からの好奇な目が痛い。同じ人であるのに、日本人だから良い。混血児は駄目。というようなあからさまな差別が沢山散りばめられている。しかしこんなひどい事が起きているのに、見ている側がずしんと暗くならないのは、キクとイサムの明るさだろう。彼らは同級生のいじめにも全力で立ち向かい、逆に負かしてしまうほどのわんぱくさ。唯一の家族である祖母は、何が起きてもずっと二人の見方。しかし、あと二、三年もすれば自分は死に、残された孫はどうなるのか…。二人の将来を考えれば、父の故郷であるアメリカへ養子として貰われたほうが幸せなのではないのか。今の暮らしは貧乏で、大学だって行かせてあげられない。ならば裕福な家庭で育つほうがいい。アメリカで自由に暮らしたほうがいい…と。しかし、アメリカにも黒人差別はあり、そこで暮らしたとしても、差別から抜け出すことはできないのではないのか…。答えはないのか。何が幸せなのか。それはやはり、愛情。暮らしが豊かになるのと、愛情は別。イサムはアメリカへ旅立ちますが、電車のなかで、行きたくない!と最後の最後で反発。見送る祖母は「嫌になったらいつでも帰ってきておいで」と泣きながら言う。何故一緒に暮らせないのか。世の中の理不尽さに思わず、何故?と何回も問いただしてしまう場面がいくつか。残されたキクには相変わらず同級生のからかいが付きまとい、何か問題を起こしてしまうと、混血だから…と全て決めつけられる。ちょっとした不始末が肌の色だけで大問題だと騒がれる。あまりの理不尽さに怒りを隠さず感情をぶちまけるキク。普通の女の子なのに…将来なりたいものは、「おかあさん」という純粋な子供なのに、混血に結婚は無理。尼になるしかないと決めつけられ…。最後、キクが自殺未遂をおこしたシーン、祖母との会話で涙がでました。「ずっとばあちゃんの傍におれ…」そのときキクに初潮が。赤飯を食べて、祖母の畑を一生かけて耕すことを将来の目的にして物語は終わります。立派なお母さんになれる暗示なのではないでしょうか。決して暗い最後ではありません。色んな人の立場からキクやイサムに対しての心情が伝わってきます。終始一貫して祖母の態度は変わらず、愛情が注がれていました。気になるのはイサムで、引き取られたその後が全く本編にないということ。二人の姉弟は今後再会することはあるのだろうか…。人種差別が日常生活にあるとこんなに愚かなのかと思わせます。人種だけに言えることではない気もしますが。時代が戦後まもないから余計に風当たりが強かったのでしょうか。全く悪い事をしていない無知な子供にとる態度なのかと。今現在はだいぶ緩和してきたと思うのですが、完全に差別が無くなることはないのかもしれません…。確かに、古びた日本家屋に黒人は似合わない。違うというのは明らか。けどそれは全く悪くない。純粋に日本で優しいお婆ちゃんに育てられてるんだからもう文化圏は日本だろ…と言いたくなります。日本語もあんなにぺらぺらで…ちょっと方言が強すぎて何を言っているのか分からなかったけど(字幕をつけてほしい。特にお婆ちゃんは何を言っているのか分からない箇所がちらほら)完全にただの元気な子供なので…。がんばるしかないのか。物珍しい好奇な目って数が増えるほど残酷です。考えさせられる作品でした。

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黄色い涙

監督 犬童一心  公開・2007

戦争が終わったとき、8歳だった僕を元気づけてくれたのは漫画だった――から始まる本編。そしてこの原作は今は亡き永島慎二の漫画。戦後のこれから頑張っていこうよ日本!オリンピックもあるしさぁ!みたいな活気に満ちあふれていて、劇中に流れる挿入歌が懐かしい歌謡曲みたいな…私は知らない時代なので、懐かしいとか、あの頃は良かったとか思いにふけることは全くないです、むしろこんな時代があったんだという新鮮さしかないです。けどいつの時代も若者は何一つ変わってない。あの頃、夢を追い続けて、挫折し、人生の苦渋というのを初めて味わったり…それでも曲げられない信念だったり。芸術家志望の若者4人が六畳一間のアパートで騒いだり、金の工面に必死になったり(ギリギリまで追いつめられるのにバイトもせず自分の物や人の物を仕方ないと言って質屋に売るのは凄い。そこまで働かないプライド凄い。)かなり愚かな若者たちです…しかし、あんなに生き生きした生活ができるのも若者だからなのです。そらあ夢に破れたりして、結局は普通に就職するけれど、あのバカみたいに叶わないのに何かを信じてたときって一番輝いていたと思うのです。青春ってこんな風なんだな…。一度は好きに、自由とは何かを考えて愚かに行動してみることが大切だと、若さは戻ってこないから。だからこの時だけは、自由を夢見たっていいんですよね。個人的に画家志望の下川が一番きました…あれは筆を折るよ!!良い事があったと思ったら悪い事って…別に絵上手いのに。下川役の大野さんは本当に芸術家なんですけどね!嵐が出てるからこれアイドル映画だろwwと、思って見たのですが、普通になんら違和感なく、若干方言が気になる程度で、全然溶け込んでいました。六畳一間で雑魚寝する感じとかカレーぶちまけるところとか、日常のけだるさが、空気が伝わってきて、自然だなぁみたいな。映画としては、ハラハラする展開もないし物足りなさがありますが、これはただ若者達の日常の姿を見ていく感じで十分良い話です。終わった後、若干の切なさが残ります…そうだよね、現実ってみたいな。しかし漫画家の村岡は自分の信念を曲げることなく貫いたので凄いなぁ、彼は…と。まだ希望があるなという明るい未来を予想しました。まぁ、多分日常は続き、売れない漫画家であるかもしれないが、自由を貫く彼は十分夢を叶えていると思うのです。個人的に章一と時江のラブなシーンがドキドキしました…。しかし章一、「セックスってつまんないよね」…何だったんだろうなぁお前の恋って!いや初めから時江好きじゃなかったんだよお前!時江可哀想。だけど個人的に、ずぶぬれの時江→暗闇で章一に迫る時江→セックスってry(´・ω・`) …な章一 が一番のお気に入りです。章一の心情が痛く伝わってきました。なんだか嵐なんですけど、普通のそこら辺にいる兄ちゃん達みたいで、またそこが良かったです。櫻井さんの小説家志望役がかなりの駄目野郎っぷりで良かったです。お前小説書いてねぇwwアイドルをここまで自然に物語と溶け込ませることができる監督と、脚本と…凄いなぁ。けど若手俳優さんがこの若者役やったっていいし、なんかもう、若い兄ちゃんならば誰でも務まる気がするw

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クローズZERO Ⅱ

監督 三池崇史  公開・2009

前作の続編。こちらのほうが喧嘩色強いように思えた。話は他校、鳳仙との因縁の戦い。原因は過去の喧嘩で鈴蘭の川西さんがサシの勝負にナイフを使い相手を殺してしまったという、なんとも男としてはやってはいけない戦さをしたこと。相手、鳳仙の仇討です。前回の流れと同じように登場人物はわりと変わらず、激しい音楽も健在、メイサも健在である。鈴蘭VS鳳仙の群衆喧嘩シーンは圧巻な勢い。何しろ鳳仙の99%は坊主であり、坊主ほど群れると怖いものはないのである。アクションシーンはカメラがぐるぐる回るので見ていると目がまわる…それほど臨場感というか、躍動感を感じられるのは凄いと思う。多摩雄さんは相変わらず「時生~!時生~!」といった感じで微笑ましい。時生の頭はセメダインでくっつけなくても、完全に完治していたのでよかった。不良たちの喧嘩の合間にヤクザな岸谷さんなど実力派が出てくると、やはり貫録が違うので、源治たちはまだまだやんちゃに騒いでいるチンピラにしか思えなくなるので、組を継ぐのは早いぞと思ってしまうが、クライマックスでやっと一皮むけたので、今後更に大きな器になると期待できた。卒業したのでこれで映画も完結。なんだか寂しい。話は楽しく見れたが、唯一気になったのが、源治とルカのシーン…バックの音楽がうるさいからって、画面に字幕とか、いきなり出てきたんでびっくりしたわ…。前回も、バックの音がうるさいからわざわざ音量を下げて台詞が聞こえるようにしてたけど、あれが不自然で…難しいんだろうなぁと思うが、そもそもそういう演出に特化してない感じの、ただの喧嘩映画だから、突っ込まなくていいと思うけど気になる人は気になる。体育館全焼シーンも容赦なく燃えて爽快でした。殴る、蹴る、燃える…単純に命を燃やしたいんだよという本能的な感じ。鳳仙の1年スーパールーキーがイケメンすぎて本当にカリスマ。蹴り技に特化したドSそうな三浦春馬、好きにならないわけがないよ。全然喧嘩してなくて、最後の蹴りだけだったのが残念で、もっと見たかった…先輩達の喧嘩を高い所で眺めているクール加減が際立っててドS。そういう子、モテるよね…。特典のマナーCMも微笑ましくて良かったです。男は喧嘩騒ぎを楽しく見る、女は演じている俳優さんを凝視する。両方から楽しめる感じでした。

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クローズZERO

監督 三池崇史 公開・2007

不良漫画の実写映画。漫画は未読なので比較ができませんが、これは漫画とは別の話で完全オリジナルストーリーだそうなので、原作を知らなくてもすんなり入り込めました。というか、これが実写だと考えないほうがいいと思いました。漫画のカリスマ度が高いので同じ所に無理にもっていくと失敗してしまう感じなのだろうと。話は単純に鈴蘭高校という不良偏差値最強の学校の頂点を目指すというもので、初めから最後まで喧嘩しっぱなし。途中、源治と拳さんが語ってるシーンがありますが、そんな小休止でさえ、はやく終わって喧嘩しろと思ってしまうほど、これは喧嘩がただ見たい話です。初めの多摩雄とパトカーの追いかけっこが何もかも壊しまくってて爽快でした。殴り合いは音といい、速度といい、力を感じられるアクションな撮り方でカッコよかったです。役の一人ひとりの学ランの着こなし方がかなりのファッションセンスでこれもカッコイイので、この役の人の格好真似したいとか、そういうのを見るのも楽しい感じ。何しろ俳優さんは若手の、今輝いている人達ばっかなので、全部カッコいいのは当たり前なのです。中でも多魔雄役の山田さんはかなり立ってます。小栗さんも自然体なのが違和感なく、全然溶け込みまくっているように感じるのですが、やはり、山田さんが良かった…。私は完全に芹沢派でした…。クライマックスの雨の中、全員黒い傘の中に王者の風格として漂う白いビニール傘が際立っていて、眼力だけで殺されそうな勢いなのが良かった。時生の手術が無事成功してそれもよかった。多摩雄と時生の友情、どうしてあそこまでお互いを思いあうようになったのか、そこら辺の描写が皆無なのでよくわかりませんが、まぁ、そんなことは関係ないのだろう、ただの喧嘩だから。人物の描写に欠けるところが感情を込めてハラハラとか無いから、若干の物足りなさだったのだろう。ただ遠くから観戦しているような見方でいいんだと思う。あと、面白いこれ!という気分にならなかった要因は、個人的に、女の子の使い方なのかな…最低な不良のあり方として女を囮にするとか、ありだけど、安っぽい。あとヒロインがいてもいなくてもいいっていう立ち位置で、もっとこう魅力的にみせたいならみせるでいいし、みせないなら、もうなくたっていい。これは喧嘩だけ。そこに徹していればよかった。組長と拳さんの絡みは最高、不良だらけの抗争最高、これだけでよかった。

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