監督 横井健司
公開・2007ゆっくりと流れる日常と思いと背景と。茂樹と弥生のふたりの人生を追っていく形の物語。テーマは
純愛 切ない愛の話でした…。彼女を見つめる(観察)ことが生きがいの彼。そして彼に見つめられることが、また彼女の支えになり…。初恋の人なのにお互い人生で会うのが1、2回って…。常に存在を遠くに感じるっていうね。この話は二部構成になっていて、初めは茂樹編。そして弥生編。で、最後につながる。普通ならこんな風に望遠鏡で見られて犯罪めいてて気味が悪いとか思うだろうし、異常か?と思うよね、しかしこの話を見ていると、全然そんな、気味の悪さは感じられず、やはりそこには愛情しか感じないのだから不思議。雨宿りに使った思い出のトンネル。雨の音。物語全体に漂ってる湿気というか、何と言うか、じれったさが雨とリンクしていて、見ているものを切なくさせるよね。もうそこまで好きなら今すぐ会いにいって抱きしめてやれよ!と何度も言いたくなるのですが、会って近くにいたらもうそれは「観察」ではなくなってしまうわけで…。弥生の言う「人との距離感がわからない」が物語ってるような。きっとこの茂樹、望遠鏡との距離…そこに心地よさを感じていたのだろうなと。見られていることが支え。しかし最後の沢山の日記…「望遠鏡の光をつかみたい…」的な一文があり、号泣でした。やっぱり会いたかったんだろうなーって思ってしまって…。幼い弥生が茂樹の望遠鏡を返しに家に行くんですが、気づかれないんですよね。チャイムの音に何故気付かないんだよ…。あの時気づいてたらさぁ…って!「ヤホホホゥ~♪」の歌が切なくて…。お互い家庭をもったけど連れは愛せないし…弥生の夫の最後が悲しくてさ、ずっと俺を見ていないって。茂樹の嫁はしょうがないと思えましたが…嫁さんは元々男運なし、元彼がガソスタで嫌がらせしてくる程度の奴だから。茂樹について行くと言ったけれど、茂樹に気持ちはないって明白だったわけだし…それでも好きだからついていったのかもしれないが、連れてってというにはただの逃避だった気がしてならない。存在理由を結婚と家庭にもっていった感じの、愛はあるのかわからない不確かなもので。とにかく、茂樹と弥生は純粋すぎるじれったさで、それが40年余りも続くのだから、これが本物なのだろう。片方が死ぬまで真実の気持ちがわからないなんて、泣けてきます。これもひとつの愛するということの方法なのだと。
[5回]
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